2021.08.23

徹底解説!タレントマネジメントの目的と導入方法、その注意点

昨今、企業の人材戦略の場面において、「タレントマネジメント」という単語をよく耳にします。この「タレントマネジメント」を導入すべきかどうか検討している、という人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
ここで言う「タレント」とは、英語で「能力・資質・才能」を意味します。タレントマネジメントとは、人材の資質や能力を企業利益のために効果的に活用する人事行為のことです。

この記事では、タレントマネジメントの意味や目的、注目された背景、導入の方法、システム導入における注意点などをご紹介させていただきます。

タレントマネジメントが注目された背景


タレントマネジメントとは、企業利益を上げるため、従業員の持つ資質や才能を最大限に活用して、戦略的人材配置や人材育成を行う人事マネジメントです。1990年代にアメリカで導入され、近年日本でも注目を集めています。

タレントマネジメントが注目され出した背景には、労働者がもつ価値観の多様化、企業側の戦略変化、労働市場の変動などが大きく影響しています。

かつて「人材は企業の歯車」と考えられていました。「社畜となって会社に尽くせば給与面も生活面も会社が一生面倒見てくれる」「企業側も新卒採用して、人材の長期的な管理を前提とした、年次管理や内部公平性の担保を重視していれば企業利益が上げられる」というように、企業側も従業員側も従来の大量採用・終身雇用制度を前提とした価値観のもとで動いていました。

しかし近年、労働者の価値観・企業の経営戦略・労働市場の動向が大きく変化し、従来の人事マネジメントから新しいタイプの人事マネジメントへの変革が急務となってしまいました。

この変化により労働者は、仕事のやりがいや仕事の社会的意義を考え直すようになりました。また、家族など大切な人と過ごす時間や自身のプライベートを有意義に過ごす時間を確保するために、仕事の時間を減らし、余暇の時間を増やす「ワークライフバランス」を重視する人も増えてます。最近ではコロナの影響もあり、時短勤務や自宅勤務、地域限定など働き方も多様になってきています。

さらに、近年経営環境を取り巻く環境が市場競争のグローバル化、デジタル社会への変革などで大きく変化し、また、人材の流動性や少子高齢化による労働者人口の減少は深刻な経営課題となってきています。そのため人材の大量採用や終身雇用制度の維持も難しくなっている現状があります。

今後も「withコロナ対応」なども含めてビジネス社会は急激に変化していきます。変化していくビジネス社会に対応して企業の利益を上げていくためには、いかに優秀な人材をスピーディーに確保できるか、という人事マネジメントが不可欠となってきます。
このような働き方、経営戦略、市場の変化、デジタル化、など近年急速に拡大している日本企業の課題に合わせたものが「タレントマネジメント」だったのです。

タレントマネジメントの目的と効果


タレントマネジメントを導入するとどのような効果があるのでしょうか。また、タレントマネジメント導入の目的はどのようなものなのでしょうか。

ここでは、タレントマネジメント導入の目的と効果について解説します。タレントマネジメントの目的は大きく以下の3つに分けられます。
企業の利益や成長のための人材戦略
人材の育成と適正配置
人材採用へのフィードバック
以下、順に解説していきましょう。

企業の利益や成長のための人材戦略

タレントマネジメント導入の最大の目的は、企業が目指す目標を、人材面からアプローチし、その達成をサポートすることです。計画的な人材活用により、企業の利益や事業の拡大などの目的を達成することが狙いとなります。

このビジョンを忘れると「手段の目的化」が起こりやすいので注意をする必要があります。

人材の育成と適正配置

まず円滑な組織運営に向けては、各人材の能力を可視化し、企業が求める理想の人材像とのギャップを埋めるアクションが必要になります。これらを実行に移すためには、人材の職務適性やスキルなどを考慮し、適切に人材を配置することが重要です。

また、人材の定着化を推進するために報酬などの方向性を定める必要性もあります。このように、人材育成、適正配置、人材定着が大きな目的となります。

人材採用へのフィードバック

さらに、優秀人材の確保も重要な目的の1つです。既存の人材と会社の方向性や売上目標などを照らし合わせる事により、今「必要な人材」が見えてきます。この新たな採用要件を人材採用の担当者側へフィードバックし、適時採用活動を行っていくことも重要となってきます。

タレントマネジメントを導入する方法


タレントマネジメントを導入するには、しっかりとした戦略のもと、戦略に沿った形で導入することが重要です。
タレントマネジメントを導入するには、大きく分けて、準備段階・実行段階・チェック段階と3つのステップを経る必要があります。
ここでは、タレントマネジメントの導入方法について解説します。

1.準備段階

まず準備段階として、経営戦略と人事戦略を決定する必要があります。戦略を決定するためには、タレントマネジメント導入の目的を明確にすることが重要です。
準備段階では、自社の既存人材の把握と理想とのギャップを確認する作業が必要になります。

2.実行段階

実行フェーズでは、採用により人材を増やす方法と既存の人材を育成する方法の両面からアプローチすることが重要です。
その上で、適性のある人材を適材適所に並行して配置していくことも重要となってきます。

3.チェック段階

チェック段階では、人事評価を行う必要性があります。必要に応じて異動や昇進など、より適性のある人材を配置することが重要となるからです。
チェック段階では、PDCAサイクルを回し続けることが必要となります。

タレントマネジメント導入における注意点


タレントマネジメントの導入に成功すれば企業の利益につながります。しかし、導入の際にはいくつかの注意点があります。以下の3つの点に注意しないとタレントマネジメントの導入に失敗する可能性がありますので注意をしましょう。
手段の目的化を避ける
古典的な雇用慣習から脱却する
コストがかかることを念頭に置く
以下、順に解説していきます。

手段の目的化を避ける

タレントマネジメントを導入する目的は、あくまでも企業利益に資するためです。ともすれば、導入すること自体が最終目的になってしまい、本来の目的を忘れてしまうことがあります。
タレントマネジメントの内容と企業利益を追求するという結果が伴わなければ、導入する意味がなくなってしまいます。

あたりまえのことかもしれませんが、タレントマネジメントの導入は、企業利益のためであるという原則をしっかりと根本に置いておくことが重要です。

古典的な雇用慣習から脱却する

タレントマネジメントを導入する際に、年功序列などの古典的な人事慣習を思い切って脱却する必要があります。なぜなら、古典的な雇用慣習は、タレントマネジメントの天敵だからです。
会社に染みついた慣習から脱却するのは、一般的になかなか難しいことです。自社の雇用慣習を客観的に再度見直して、必要に応じて大胆な人事改革を検討する必要があります。

コストがかかることを念頭に置く

タレントマネジメントの導入に際して、人事データの活用と管理には専用のシステム導入が必要不可欠です。専用システムを活用して、人事データを一元的に管理・活用することで、優秀人材の抜擢や人材の適材適所への配置が実施できるからです。

ここで念頭に置いておかなければならないのは、システムの導入やタレントマネジメントの実行には、どうしてもコストがかかってしまうということです。最初の段階でコストを見据えておかないとタレントマネジメントの導入自体、頓挫する可能性が高くなってしまいます。

タレントマネジメントは変化する労働市場に対応する人材戦略である


これまで、タレントマネジメントとは何かについて、意味や目的、注目された背景、導入方法や導入における注意点などをご紹介させていただきました。

重要なことは、タレントマネジメントは企業の利益となり得ますが、失敗のリスクも存在することをしっかりと理解した上で導入の検討をすることです。

タレントマネジメントとは、変化する労働市場に対応する人材戦略です。古典的な人事慣習から脱却し、自社に合った方法で現代の労働市場に適応する人事体制の確立を目指しましょう。

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