2021.01.05

研修の効果測定|研修の効果測定をして社内での評価を高める方法

1.効果測定の重要性

会社が研修を投資と考えるかどうかは、企業文化や経営層の考え方にも影響されます。しかし、実施する研修の効果が可視化されていなければ、いずれにしろどの程度コストをかけるべきかという判断が難しくなります。

研修には、以下の表のように講師への謝礼金や会場費といった目に見える直接経費以外にも、人件費などの間接経費がかかっています。

直接費用 間接費用
会場費、講師への謝礼金、交通費、
宿泊費、教材費、他
参加者の人件費、研修担当者の人件費、
参加者の機会損失


間接費用も含めた多額のコストをその研修にかけるべきなのかどうかは決裁者にとって大きな判断材料の一つです。
そのため企画段階から研修の効果を明確に示すことは、決裁者の納得度を高め、研修実施に向けた社内合意を得るためにも重要な要素となります。

研修担当者としてベストな研修を一生懸命考えて企画しても、社内合意を得られなければ実施ができないため、研修に対して発生するコストを理解し、決裁者に対して研修の効果を明確に示すことが研修担当者としての最初のステップとなります。

2.複数の指標を組み合わせてバランス良く効果測定する

研修の効果として一番わかりやすいのは、企業収益の向上です。例えば「研修の結果売上が20%アップした」、「研修の結果離職率が10%低下した」といった効果を示せれば、社内合意を得る過程での納得度は非常に高いです。

上記のように数字で研修効果を見える化することも、推測統計など専門的な知識があれば不可能ではありません。
なおこちらに関しては統計学に関する知識が必要になるなどボリュームが多い内容のため、また別の記事にて紹介する予定です。

しかし、いずれにしろ上記のような企業収益と直接関係がある数字を指標とするには、二つの問題があります。

一つは、数字の信頼性がやや下がるという点です。
例えば、研修の結果翌年の売上が実際に20%アップしたからといって、売上が増加した要因は必ずしも研修だけとは限りません。景気や他社の動向などが原因で売上が向上したとも考えられます。

もう一つの問題は、効果測定までに長い時間がかかるという点です。
例えば研修の結果離職率にどう影響したかを分析する場合、「研修後の1年以内離職率」といった数値を取得するだけでも1年はかかってしまいます。

そのため重要となるのは、会社側が納得できる範囲で、企業収益との結びつきが多少弱くても信頼性や測定時間の面で優れている指標を用意し、複数の指標を設定することです。

ただし、具体的にどのような複数の指標が考えられるのかということについては、研修内容によっても異なります。

そこで、研修ごとに適切な指標を見つけられる手法として、ぜひ研修の4段階評価モデルを覚えておいてください。

3.研修効果を測定する4段階評価モデル

研修を評価する代表的な手法として、ドナルド・カークパトリックが提唱した4段階評価モデルというものがあります。これは、研修の効果はレベル1~4の4段階で評価できるという理論です。

「カークパトリックの4段階評価モデル」

研修の効果 効果を調べる主な方法
レベル1:反応
受講者にとって
満足度の高い研修となっているか
・受講者アンケート
レベル2:学習
受講者は身につけるべき
知識やスキルを習得できているか
・筆記/理解度テスト
・実技/パフォーマンステスト
レベル3:行動
研修は受講者の業務上の行動の
変化に結びついているか
・一定期間後のフォローアップ調査
・上司による行動変容の評価
レベル4:結果
研修は組織の業績への貢献を
意識して設計されているか
・収益指標(売上増加/費用削減)

レベル1:反応

反応とは、受講者の研修に対する満足度や好感度を意味します。
アンケートを通じて計測し、研修講師の評価や次の研修の準備に利用されます。

例:研修アンケート
Q.今回の研修に対する満足度で当てはまるものに丸をつけてください。
(非常に不満)← 1  2  3  4  5 →(非常に満足)

Q.研修の内容はあなたの業務で実際に役立つと感じるものでしたか。
(全くそう思わない)← 1  2  3  4  5 →(非常にそう思う)

※評価指標として得られる上記のような各数値は、レベル1~4まですべて同様、より良い数値を目指す形で研修内容の試行錯誤をする際に用いられます。

レベル2:学習

学習とは、研修前後のテストなどで計測できる学習の成果を意味します。
満足度や好感度が高いだけでは学んだ内容が本当に身についたかどうかを測れないため、反応だけでなくテストなどを通じて学習成果を計測することも重要となります。

例:研修後テスト
Q.不正アクセス禁止法において,不正アクセスと呼ばれている行為はどれですか。
ア.共有サーバにアクセスし,ソフトウェアパッケージを無断で違法コピーする。
イ.他人のパスワードを使って,インターネット経由でコンピュータにアクセスする。
ウ.他人を中傷する文章をインターネット上に掲載し,アクセスを可能にする。
エ.わいせつな画像を掲載しているホームページにアクセスする。

得点  点   

レベル3:行動

行動とは、研修を通じて学んだ内容を職場での業務に生かしているかどうかを意味します。
実施から一定期間経過した後のフォローアップ調査や上司へのヒアリングを通じて計測します。

例:上司への研修一週間後ヒアリングシート(個人別)
Q.お客様に対して丁寧語や尊敬語、謙譲語を正しく使えている。
(不安が残る)← 1  2  3  4  5 →(よく出来ている)

Q.お客様と話す時は笑顔でハキハキと話している。
(不安が残る)← 1  2  3  4  5 →(よく出来ている)

レベル4:結果

結果とは、研修が組織全体にもたらした価値を意味します。
レベル3の職場における行動の変化が組織にどのような価値をもたらしたかに着目し、営業目標や離職率など企業収益に直結する収益指標の変化を計測します。

例:
・研修を実施した翌月の目標達成率(全社平均)は20%高くなった
・研修の満足度評価が1高いと、その後1年以内に離職する確率が13%下がる

※具体的な計算方法は別の記事にて紹介予定   

ここで重要となるのは、レベル1~4の数字が大きくなるほど指標として企業収益との関係が強くなり、同時に信頼性や効果測定にかかる時間の点ではやや劣るということです。

まずは、4段階評価モデルにおけるレベル4での短期的な効果測定が難しいということを経営者や決裁者に説明してみてください。きっと、すんなり納得してもらえます。その上でレベル3(行動の変化)までの計測方法について話し合いをすれば、社内の理解を得ながら適切な指標を見つけることができます。

なお、レベル3の結果であっても計測するためにはそれなりの時間がかかるため、研修直後の報告材料として利用しやすいのは4段階評価のレベル1とレベル2です。そのため、どちらにしてもまずはレベル1から順にすべてのレベルの指標を計測していくことをおすすめします。

「カークパトリックの4段階評価モデル(再掲)」

研修の効果 効果を調べる主な方法
レベル1:反応
受講者にとって
満足度の高い研修となっているか
・受講者アンケート
レベル2:学習
受講者は身につけるべき
知識やスキルを習得できているか
・筆記/理解度テスト
・実技/パフォーマンステスト
レベル3:行動
研修は受講者の業務上の行動の
変化に結びついているか
・一定期間後のフォローアップ調査
・上司による行動変容の評価
レベル4:結果
研修は組織の業績への貢献を
意識して設計されているか
・収益指標(売上増加/費用削減)


Edu研ではこれまで500社以上の人材開発を支援してきましたが、実はその中で研修の効果測定をレベル3まできちんとできている企業はほとんどありませんでした。

その一番の理由は、研修担当者が受講者の行動を見て確認することができず、現場の上司に協力を依頼するしかないからです。現場からも協力を得ようとすると、どうしても実施のハードルは上がってしまいます。

ただ、上司による行動変容の評価についてはまた別の記事で詳しく説明していますので、まずここでは「なぜ現場の上司にも協力してもらうことが望ましいのか」という点をしっかりと押さえておいてください。
研修で発生するコストに対しての効果測定をするために、レベル3での評価情報を取得することはとても重要なのです。

さて、このページでは研修の効果測定についてお伝えしました。
研修の効果測定は、PDCAサイクルで言うところのC(Check)にあたります。

Checkの次はAction(改善)です。研修の効果をさらに高めるには、研修をどのように改善したらいいかということを次のステップでは紹介します。

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