2021.01.11

EdTechとは|人事業務・社員教育にITが求められる理由

1.人事部門にも到来したIT化の波

IT技術の進歩により、採用、労務、モチベーション管理といった人事業務にも活用できるITツールが業界や企業規模を問わず普及し、人事の仕事は変わりつつあります。

これまで採用の合否や人材配置などの業務は経験に基づいた属人的な判断によって進められることが多く、客観的な事実やデータによる分析・判断をすることが難しい実情がありました。

そのため、人事業務に活用できるITツールが普及する前は、「意思決定に時間がかかる」、「PDCAサイクルを回せない」といった声が多く、様々な企業で共通の悩みになっていました。

昨今、様々な人事向けITツールが普及した結果、データの蓄積や業務効率化によって、客観的な事実に基づいた判断や、データ分析による戦略的な人事を行う企業が増えてきています。

ところが、人事業務の中でも社員教育についてはIT化が一歩遅れています。オンライン研修の導入などを行っている企業も一部ありますが、「誰が何をどう教えるか」といった戦略的な判断については、今でも現場の経験に基づいた判断が多くの企業でなされています。

人事業務の中でも教育領域に関しては、これまでそれで問題ありませんでした。「教育」は他の人事業務と比べて効率化による費用対効果の上昇が見えにくく、採用活動などと比べると残念ながらそれほど大きな変化を期待されていなかったからです。

しかし、時代の変化により状況は変わってきました。
雇用の流動化が進み、優秀な人材の確保と同じくらい離職率を下げることが重視されるようになってきた中で、キャリア支援による定着率の上昇といった観点からも教育の変化が求められるようになってきています。

教育領域におけるITツールも、以上のような時代の流れの中で増えてきており、人事担当者としてこれらに関する理解を深めておくことは今後大きな武器になると言えます。

2.EdTechで社員一人一人の教育内容を最適化する

EdTechとは、教育を意味する「Education」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた言葉です。

社員教育におけるEdTechとは、一般的に研修をはじめとした社員教育の効率化、改善、効果測定などに役立つITツールのことを指します。

EdTechでできることは主に3つあります。
「オンライン学習」、「学習管理」、「アダプティブラーニング」です。

【EdTechでできること】

「オンライン学習」はインターネットが普及する前からビデオテープやDVDなどの形でも存在しているものです。

「学習管理」とは、学習カリキュラムの進捗や研修後のテスト成績などの管理を意味します。
この学習管理ができるシステムはLMS(Learning Management System)と呼ばれ、社員数が多く学習状況の把握や管理が大変な企業では広く導入されています。

これらもEdTechとして重要な機能ではあります。
しかし、近年EdTechという言葉が注目を集めている理由は、主にもう一つのアダプティブラーニングという機能です。

「アダプティブラーニング」とは、学習データを元に最適化されたオーダーメイドの教育カリキュラムを学習者一人一人に提示することを意味し、主にAIなど最先端のIT技術を活用した教育手法として用いられています。

例えば、英語教育で使われているテキストでは理解度に関わらず一律で同じ問題に取り組ませていましたが、アダプティブラーニングを活用すると、理解度の高い人には英作文の問題、理解度の低い人には穴埋め問題というように、学習者一人一人のレベルに適した難易度へAIが自動的に調整することができます。

教育もIT化が重要となってきた背景には、「キャリア支援」という言葉に代表されるように、一人一人へ個別の対応が求められるようになってきたことが挙げられます。
アダプティブラーニングは、まさにこの個別対応において大きな価値を発揮するのです。

なお、難易度調整の他にもアダプティブラーニングでできることは多数ありますが、前提として教師データと呼ばれる学習データが大量に必要となります。

AIが適切な判断をするためには、その判断の根拠となる成功事例や失敗事例を十分な数蓄積させていくことが求められるからです。

ところが、社員教育は学校教育と違い教育内容が企業ごとに異なります。
例えばリーダー教育といった共通の教育テーマでも、その内容や正解は企業ごとに一律ではありません。そのため自社のデータだけでは学校教育のように大量のデータを集めることができず、AIが最適な学習を促すための元となる教師データが不足してしまいます。

その結果、アダプティブラーニングは学校教育の場では最新のEdTechソリューションとして様々なツールが存在するのに対して、企業における社員教育では世に出ているツールの数がまだまだ少ないのが実情です。

ただし、業界業種に関わらず必要となるヒューマンスキルや、経理や法務など職種ごとの基礎知識のインプットであれば複数の企業からデータを収集することができるため、これらに関しては企業におけるアダプティブラーニングの導入に向けて注目しておくことをお勧めします。

EdTech市場そのものが急拡大の傾向であるのに加えて、社員へのキャリア支援や成長支援がより一層求められるようになってきた時代背景を考えると、社員教育の場で個別に最適な学習内容を提示するITツールが今後さらに増えていくことは容易に想像できます。

3.EdTechソリューションの活用用途

アダプティブラーニングは学習効率を向上させるだけでなく、他にもたくさんのメリットがあります。
代表的な活用方法を6つご紹介しますので、将来的にでも役立ちそうなものがあれば引き続きEdTechに関する理解を深めていき、自社での導入に関する検討をしてみてください。

活用方法① 従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントの向上には、成長の実感や上司・先輩とのコミュニケーションが重要な要素の一つです。OJTを含む教育をITツールによりサポートすることは、これらを改善し従業員エンゲージメントの向上を見込めます。

活用方法② マネジメント負荷の軽減

アダプティブラーニングでは、最適な学習内容を提示する過程で一人一人の学習データを取得します。取得したデータは管理者が部下を評価する際の客観的な判断材料にもなるため、評価の判断材料を集める工数を削減することでマネジメント負荷を軽減します。

活用方法③ 離職の防止

社員が会社から自己成長を支援されていないと感じた場合、離職のリスクが高まる恐れがあります。個人のペースで適切な内容を学習できる環境を整えることで、成長を支援されているという実感につながり、離職防止対策の一つとなります。

活用方法④ テレワークへの対応

通常の勤務形態に比べてテレワークで社内コミュニケーションにおける上司・先輩からの指導が不足していても、AIが個人ごとに学習すべきことや意識すべきことをその都度ある程度提示できれば、日常的な教育やコミュニケーションをサポートすることができます。

活用方法⑤ ベテラン社員の活性化

ベテラン社員への指導は教える人も気を使いますし、本人もプライドが邪魔をしてしまうことが多々あります。中でも意識改革やコミュニケーション面の指導は特に気を使うところですが、システムが本人の学習データに応じて適切な内容を提示する場合、双方のストレスを軽減し比較的高い効果が見込めます。

導入目的⑥ パワハラ防止対策

例えば同じようなミスを繰り返す人に対して繰り返し注意を行う場合、人であれば次第に言い方が強くなってしまい、受け手がパワハラだと感じてしまうケースがあります。学習データによってシステムが繰り返し注意を行えば、このようなパワハラ発生リスクを削減できます。

いかがでしょうか。上記のとおり、アダプティブラーニングは組織における様々な課題解決に役立てることができます。
もちろん、本来の目的である人材育成の強化や、スキル管理として活用するだけでも十分な効果を見込むことはできます。

アダプティブラーニングに関連する実際のソリューションをチェックしていく中で活用イメージはさらに膨らんでいきますので、まずは以上のような活用方法の視点も持ってEdTechに対する興味を持っていただければと思います。

次のステップでは、「オンライン学習」、「学習管理」、「アダプティブラーニング」の3分類でEdTechソリューションをご紹介していきます。世にあるソリューションを知っていただき、社員教育に対する課題の解決に少しでもお役立てください。

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